精神科の保護室、あるいは隔離室での看護

精神科の保護室、あるいは隔離室での看護

 

保護室での看護って、緊張感がありますよね。

精神状態の不安定な患者さんが多くて、正直怖いと感じることもあります。

 

ですが、保護室での看護は患者さんのためにもとても大切です。

というのも、保護室は患者さんの人権を著しく制限しています。

 

なので、できるだけ早く一般病床への適応を図りたいものです。

 

つまり、保護室での看護は精神科急性期のもっとも重要な看護になります。

そんなわけで、今回は保護室の看護についてお話していきます。

 

目次

なぜ保護室が必要なの?

保護室を使う理由って意外と忘れられがちですよね。

暴れてるからでしょ?なんていう人もいますが、半分正解で半分不正解です。

保護室利用の要件

次に該当する患者が保護室の対象になります。

  • 人間関係を著しく損なうおそれ
  • 自殺、自傷行為が切迫している
  • 暴力行為や迷惑行為
  • 精神運動興奮による不穏、多動、爆発性
  • 身体合併症による検査や処置のため

様々な要件がありますが 保護室を使う理由は次の2つになります。

保護室を使う目的

刺激遮断

精神状態が不安定な場合に、刺激遮断は効果的です。

みなさんもメンタルが病んだ時、静かな場所に行ったほうが落ち着きますよね。

 

保護室も同じです。

特に統合失調症の患者さんは自我意識という、自分と外界との境界線が曖昧になってしまいます。

なので、外からの刺激がその境界線を超えてダイレクトに来ます。

 

つまり、情報量が多い場所にいると精神的な疲労が激しいんです。

なので、保護室という何もない空間にいることが、精神症状の鎮静に効果的なんです。

つまり、患者さんを楽にしてあげるために使うものなんですね。

 

本人の生命や健康、人間関係の保護

精神疾患の急性期には幻覚や妄想に左右された行動を取りやすくなります。

幻聴に命令されて他人を殴ったり、妄想で他の患者さんを殺人犯だと罵ったり。

また、感情のコントロールが出来なくなって自傷行為をしたり。

 

このような不利益から患者さんを守ることも、保護室利用の役割です。

 

保護室で行われる看護とは

自傷行為へのアセスメントと看護

まず、保護室に患者さんが入ってもらうときに考えるべきことがあります。

保護室の中に何を入れるかです。

 

保護室には基本的に、余分なものは入れません。

前に勤めていた病院では、布団、枕、マットレス、トイレットペーパーだけでした。

 

もちろん、患者さんの精神状態や本人の希望に応じて色々なものを持ち込めたりしますが。

ですが、患者さんによっては、それらでも自傷行為をすることがあります。

例えば、トイレットペーパー。

キツくよじって紐状にして首を締めた患者さんもいました。

 

また、食事についてるストローの先端で手首を切ったり、ハシで喉を突いたり。

なので、保護室に何を入れるかはかなり大事な判断になります。

 

もちろん、ハシやスプーンがないと食事は出来ません。

なので食事中は側にいるとか、食後にハシやストローの回収を確認するなどが必要にまります。

 

そして、自傷行為に関しては、患者さんとできるだけ早く「自傷行為をしないこと」を約束してもらうことがセオリーです。

 

まあ、個人的な意見としては、軽度の自傷行為は対処行動として認めてもいいかなと思いますが、病院ではそうもいかないので。

 

暴力へのアセスメントと看護

次に必要なのは、近づくことです。

 

患者さんに近づくには、保護室の外からの観察、そして保護室に入ってからの観察

この2つをもとに一瞬で暴力リスクをアセスメントする必要があります。

行動や言動、看護師を見た時の反応やお互いの位置などから総合的に判断します。

 

暴力に関してはCVPPPなどのテクニックもあります。

しかし、保護室での看護ではそこまでする必要もないと思います。

 

暴力リスクが高い状況では、近づかない。そして、落ち着いてきたら近づく。

これで十分です。

 

ちなみに、わたしは保護室内で暴力を受けたことはないです。

暴力リスクが高い状況っていうのは、意外と一般病床で突発的に来ます。

 

セルフケア不足を補う

保護室にいる患者さん、特に統合失調症の患者さんはヘルスケアが不足します。

というのも、幻覚や妄想に支配されているので、洗顔やハミガキどころではないんです。

風呂に入るのもままならなかったり。

 

そんなわけで、セルフケア不足を補います。

ここで重要なのが、患者の自律性へ配慮することです。

どこまで手伝う必要があって、どこまで本人にやってもらうか。

そこをしっかり線引しないと、患者さんが不利益を被ります。

 

例えば、何でもやってあげてしまうと、患者さんはやってもらうことに慣れてしまい、自分では何もしなくなってしまうんです。

 

よく施設病とかインスティチューショナリズムと言われます。

 

統合失調症の患者さんは陰性症状で、意欲が失われることがあります。

過剰なセルフケアへの介入は患者さんの意欲を更に奪ってしまいます。無力感を味わうので。

 

そうなると、主体性を失ってしまいます。

わたしは、統合失調症の一番の辛いところは、この主体性を失いうことだと思っています。

 

そんなわけで、患者さんの回復に合わせて、自立も促していきましょう。

拘禁反応への対策

狭くて変化のない場所にずっといると拘禁反応というものが現れます。

幻覚や抑うつ、人格の変化が現れます。

 

そのため、少しでも早く処遇の拡大を図る必要があります。

まずは、状態の観察と時間解放が可能かのアセスメントです。

 

もちろん時間解放を判断するのは医師です。

しかし、患者を四六時中見ているのは看護師です。

 

なので、時間解放が可能な精神状態だとアセスメントしたら、看護師から医師へ打診しましょう。

 

わたしの上司が「処遇を制限するのが医者の仕事なんだから、看護師の仕事はその逆でいい」と言っていました。

その言葉は今でも大切にしたいと、心に残ってます。

 

保護室から出るために

患者さんの精神状態がある程度落ち着いてきたら、患者さんと「なぜ、保護室に入ったのか」を振り返ります。

看護師の中には内省を重視する人もいますが、わたしはそれより実行可能な対策を考えられるかだと思います。

精神状態が悪化する時のきっかけや、その予兆を思い出してもらって、対策を一緒に考えるんです。

そのままクライシスプランにするのも良いと思います。

保護室に入った経験から、自分の対処行動を見つけて一般病棟で実行にうつして、少しずつブラッシュアップしていくと、退院先でも不具合が出にくいと思います。

 

患者さんから保護室に入りたいと言われたら

余談ですが、たまに患者さんの方から「保護室に入りたい」と言われることがあります。

この場合には、本人から同意書にサインをもらい、一般病床と同じ扱いで入室してもらいます。

そして本人が出たいといえば、そこで保護室は解除です。

医師からの指示も必要ありません。

 

大事なのは、信頼関係を築くこと

例外を除いて、患者さんは自分の意思に反して保護室に入ります。

なので、そこから人間関係を作ることはマイナスからのスタートになることもあります。

つまり、信頼関係を作ることが困難なケースも多いです。

でも、信頼関係が築けなかったケースはありません。

保護室に入ったとしても、患者さんがなるべく納得できる看護を提供しようという姿勢を見せると、いつかは心を開いてくれます。

 

わたしは、患者さんの話をよく聞く、それが一番の近道だと思っています。

と、そんなわけで、今回は保護室の看護でした。

 

こういう所がもっと知りたいとかありましたら、ツイッターでのDMなどしてもらえれば嬉しいです。

記事の参考にさせていただきます。

そんなわけで、今回も最後まで読んでくれたありがとうございました。

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