【精神科の技術】意外と忘れがちな傾聴

【精神科の技術】意外と忘れがちな傾聴

 

こんばんは、看護師の信広です。

今回お話するのは、「傾聴」です。

傾聴って聴くと、すごく初歩的な感じしますか?

わたしも、そう思っていました。看護学生でもできるみたいなイメージです。

 

でも、今のわたしは「傾聴」っていう技術はかなり最強の部類だと思っています。

 

というのも、人質立てこもり事件でネゴシエーターが使う技術もほとんど傾聴です。

そして、ゲートキーパーが自殺を踏みとどまらせるのも傾聴です。

 

人質立てこもりした人が人質を開放したり、自殺しようとしていた人が思いとどまったり

これってかなりの行動変容ですよね。

 

精神科看護の本質って患者さんの行動変容だと思うんです。

なので、傾聴は時間さえあれば精神科での最強の技術だと考えています。

 

今回はその、傾聴についてお話していきます。

 

目次

傾聴ってそもそも何?

カウンセリングの技術で、心理学者のロジャースが「アクティブリスニング」という言葉で使い始めました。

傾聴とは、聴くだけでなく、相手の話を聴いていること、関心を持っていることが伝わるような姿勢を示すこと。

言い換えると、聴いているということを相手に伝えるこちらからのメッセージでもあるんです。

 

傾聴が出来ると何か良いことあるの?

 

傾聴には次のようなメリットがあります。

  • 相手の頭の中が整理される
  • 信頼関係が築ける
  • 看護がスムーズに提供できる

一つずつ解説していきます。

 

相手の頭の中が整理される

人の頭の中って案外、整理されていないんです。特に悩みごとは。

例えば、自分のことでも、

「このまま嫌な職場に残るか、転職するか、転職したいけれど師長がなんていうかわからない」

なんて時ありますよね。

これって、考えていると、頭の中でぐるぐるしますけれど、さっきみたいに文章にしてしまえば、整理されちゃうんです。

この場合は、取り合えず転職決めて師長に転職するって伝えるしかないですね。

 

文章化だけでなく、言語化でも同じことができます。

人の心は、思考と感情と、自分が体験したことを分けるのが苦手です。

さっきの例の場合、頭の中にある状態だと、

師長が転職に反対して引き止められるような気がして不安という、

思考と感情と現実がごちゃまぜの脳内になってしまうんです。

 

これを言葉にすることで、整理してくれるんです。

 

信頼関係を築ける

人って、どんな人を信頼してくれると思いますか?

少なくとも、相手のことを認めてくれる人、そして共感してくれる人です。

傾聴って相手の言葉をしっかり聴くこと、そしてそれを伝えることなので、相手はかなり尊重されている感覚を得られます。

 

また、傾聴をするということは、立場や価値観を超えて共感を示すことにもなります。

もちろん、重い精神障害の人のことを理解するのは難しいです。

ですが、辛さに共感を示すことはできるんです。

 

そのため、信頼関係を築けるのです。

 

看護がスムーズに提供できる

基本的に看護を提供するには、患者さんの問題点を見つけて、そこに患者さんと一緒にアプローチしていくことです。

つまり、患者さんの頭の中が整理されていて、さらに看護師との信頼関係ができていれば、看護が超スムーズになります。

 

むしろ、このレベルになってくると看護は退院に向けたアプローチになってくるかも知れませんね。クライシスプランを作ったりとか。

 

まあ、そんなわけで、看護がスムーズになるので、傾聴はやっておいて損はないです。

 

ってことで、改めて傾聴ってどうやるのか、解説していきます。

 

傾聴ってどうやるの?

前提 判断や評価を相手に伝えない

傾聴には前提があります。

それは、相手の言った言葉に判断や評価をしないということです。

よく「それはダメだよー」とか「そんなこと言ってたら退院できないよー」とか言う人いますよね。

はい、傾聴する時はやめましょう。

わたしは傾聴でなくてもそういうことは言いませんが。

それ以外にも「いいことだよ」とかポジティブな評価や判断はやめましょう。

 

アサーティブネスに

もし、評価や判断になりそうな場合には「Iメッセージ」にしましょう。

つるり「それはダメだよ」ではなくて「わたしはそれはしないほうがいいと思う」ということです。

 

それはダメだよという言葉は相手に完全に余地を与えなくなってしまうんです。

しかし「Iメッセージ」だと、相手にとっては1つの意見でしかありません。

 

なので相手に突き放したような印象を与えなくて済むんです

 

それではテクニックに入っていきます。

 

うなずきとあいずち

一番簡単なテクニックですね。

相手の言葉のタイミングに合わせてあいずちとうなずきをします。

ポイントとしては、少しオーバーリアクションにやったほうが相手に「聴いてもらっている」という感覚が伝わります。

特に認知機能が低下している人や高齢者には体全体を使ってうなずく位をイメージしましょう。

でも、誰にでもやるとわざとらしくて印象が悪くなります。

 

それからうなずきは、あんまりコマメにやらない方がいいです。

たまに赤ベコみたいになっている人いますけれど、だいたい評判悪いです。

 

オウム返し

相手が言った言葉をそのまま復唱する技法です。

これの優れた点は相手の言葉がそのまま相手の耳に入っていくので思考が整理されるのをさらに助けてくれます。

話が長い人の場合には最後の方を復唱しましょう。

この技法にはかなり大きな欠点があります。

多用しているとオウム返しをしてるのがバレて嫌われることです。

 

程々にしましょう。

 

言い換えて伝える

オウム返しの応用版です。相手の言っていった言葉を別の言葉に置き換えて伝えます。

「昨日、幻聴にみんなに嫌われてるって言われてイライラしちゃったんだよ」

 

と言われたら「幻聴に嫌なことを言われて腹が立ったんですね」という感じです。

オウム返しより良さそうですよね。

手抜きのパターンでは部分的に英語にしてオウム返しという方法もあります。

「運動不足だったから走ったんだよ」「運動不足だからランニングしたんですね」

 

要約して伝える

患者さんが悩みや自分の体験を語ったあと、それを短くまとめて相手に伝えることです。

患者さんが自分のこころの整理ができていないときに要約するとかなり効果的です。

きっと患者さんも「ああ、自分てそうだったのか」と発見があると思います。

ですが、この要約って伝え方がとっても大事です。

 

「つまり、〇〇ってことでしょ」って言われると

患者さんには「話が回りくどい」というメッセージも伝わってしまいます。

 

伝え方としては疑問形にしましょう。

「つまり、△△さんの言いたいことって〇〇ってことで間違ってませんか?」

 

これなら、嫌な印象はあまり与えずに済みます。

 

相手の感情を予測して伝える

患者さんの語った言葉の中にはけっこうつらい経験なんかもあります。

「つらかった」「悲しかった」「イラッとした」と言えてれば良いんです。

 

しかし、そうではなくて何となくモヤモヤしてるような感じで伝えて来ることがあります。

それって、感情が言語化できていなくて、心がさまよっているんです。

そういう状況ってけっこう辛いものなんです。

 

なので、「自分だったらどういう感情になるのかな」と考えて相手に伝えて上げるんです。

 

例えば「それは悲しかったですね」と伝えると相手は「あ、自分はそのとき悲しかったのか」と思えるんです。

人は感情に気づけるから管理ができるんです。

アンガーマネジメントも怒りに気づくところから始まりますね。

 

沈黙も聴く

最終的には沈黙も傾聴しちゃって下さい。

患者さんは、からまった頭の中を整理しながら話すんです。

色々な感情や記憶が呼び覚まされて、黙ってしまうこともあります。

 

そんなときには、沈黙も聴いて下さい。

待ってるっていうことが伝わるような表情で。

 

まあ、けっこう難しいんですけどね。

わたしも耐えきれずに何度も質問の追撃をしてしまったことがあります。

 

なので、わたしは追撃したくなったら笑顔で「大丈夫ですよ」と伝えます。

相手がそのまま黙ってれば引き続き沈黙を傾聴します。

 

相手が「えっ?」って顔をしたら、それは相手が会話から離脱していただけなので、仕切り直しましょう。

 

と、そんなわけで、今回は傾聴について記事にしてみました。

復習してみると、意外とすごいテクニックですよね。

 

これからも、こんな感じで精神科の技術を時々記事にしたいと思います。

それでは、最後まで読んでくれてありがとうございました。

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